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2009年2月24日 (火)

【書評】『大航海』第69号「特集:脳・意識・文明」(新書館)

□ジェインズ『神々の沈黙』への助走
Gpss090224  年に四回刊行される思想誌『大航海』であるが、年初に発行された第69号は本プロジェクトに見合った内容をそなえるため、簡単に紹介しておきたい。この『大航海』誌は幅広く思想界の話題を取り上げる点で青土社が発行する『現代思想』に似ているが、その語り口はいっそうやわらかく、より広汎な読者層を想定しているようである。この特集号には多くの論考が収録されているが、主なものを拾い上げてみると以下のようになる。

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2009年2月18日 (水)

【書評】阿部仲麻呂著『信仰の美学』(春風社、2005年)

Gpss090218_2 美は排除せず、すべてを包み込む。ともすれば審問の語法をとりがちな教義ではなく、(「あとがき」の言葉を借りれば)「万華鏡」の妙に心開かれる美学の視点から信仰のあり方が見直される。本書の読者は現代神学における特筆すべき事件に遭遇することになろう。
 

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2009年2月13日 (金)

【書評】黒川伊保子著『日本語はなぜ美しいのか』(集英社、2007年)

□日本語をめぐる危機感
Gpss090213  日本語が危機に瀕しているという。書店の店頭では水村美苗著『日本語が亡びるとき――英語の世紀の中で』が平積みにされ、その隣にはその書を特集している『ユリイカ』(詩を中心とした文芸評論誌)が同じく積み上げられている。「英語帝国主義」への反論には長い「伝統」があり、いまさらの観があるが、評者の感じるところでは、日本語が直面しているこの危機感はグローバル経済の進展に伴い、ゆっくりではあるが確実に強まっているように思われる。立ち読みした限りでも、上記の『ユリイカ』に収録されている論考には「滅んでしまってもかまわない」式の前置きが目立った。

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2009年2月12日 (木)

【書評】小川洋子著『物語の役割』(筑摩書房、2007年)

□科学者と協働する小説家
Gpss090212  映画にもなったベストセラー『博士の愛した数式』の著者による、きわめて平易な物語論である。自然科学に多大な関心を持ち、その研究者と活発な協働を行う著者の思想は、その人気の高さを考慮すれば、現代日本の一般的常識における科学とこころ――文学はまさしく心情の表現だとして――のイメージ形成に今後大きな影響を与えていくものと思われる。ちなみに著者には数学者である藤原正彦とのあいだで『世にも美しい数学入門』という共著が存在する。本評では本書を読んで連想したよしなしごとを、徒然なるままに短いながらも綴ってみたい。

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2009年2月 6日 (金)

【書評】遠藤秀紀著『人体 失敗の進化史』(光文社、2006年)

□「失敗」からはじまる
Gpss090206  評者はキリスト者として神によるこの世の創造を理解しようと無理を承知で願ってきた。しかし言うまでもなくこの出来事は通常の理解を超えている。キリスト教信仰では、創世に限らないが、「信じる」ことは「理解する」ことに基本的に優先すると考えられてきたため(ただしカトリックでは両者の調和を伝統的に求めてきた)、それに乗じて理解への願いはさほど強いものではなかったというのが正直なところである。すくなくともこの世はすばらしく、かつ進化論も創造論にとってもはや躓きの石ではなく、むしろ神の偉大な創造力の表現として「みごとな」ものだと考えてきた。本書はそのような神話的あるいは親宗教的な進化観を突き崩すダイナミズムを秘めており、無類の刺激を得ることが出来た。
 目次を挙げておこう。

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2009年2月 4日 (水)

1998年の読売新聞(東京版)の「心のメカニズム」特集

 近年、新聞等で頻繁に取り上げられるようになった「脳科学」について、1998年の読売新聞(東京版)で大変興味深い記事があった。毎週朝刊に掲載されていた「心のメカニズム」特集だ。1998年当時、世の中が注目した「身近な話題」と「脳」の関係性を紹介している。

■脳は大きな目標が必要
 1月22日の本blogにて、寺尾研究員が執筆した【書評】松本元著『愛は脳を活性化する』(岩波科学ライブラリー42、岩波書店、1996年)の著者が第12回の連載に登場する。

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