【書評】『大航海』第69号「特集:脳・意識・文明」(新書館)
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□科学者と協働する小説家
映画にもなったベストセラー『博士の愛した数式』の著者による、きわめて平易な物語論である。自然科学に多大な関心を持ち、その研究者と活発な協働を行う著者の思想は、その人気の高さを考慮すれば、現代日本の一般的常識における科学とこころ――文学はまさしく心情の表現だとして――のイメージ形成に今後大きな影響を与えていくものと思われる。ちなみに著者には数学者である藤原正彦とのあいだで『世にも美しい数学入門』という共著が存在する。本評では本書を読んで連想したよしなしごとを、徒然なるままに短いながらも綴ってみたい。
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□「失敗」からはじまる
評者はキリスト者として神によるこの世の創造を理解しようと無理を承知で願ってきた。しかし言うまでもなくこの出来事は通常の理解を超えている。キリスト教信仰では、創世に限らないが、「信じる」ことは「理解する」ことに基本的に優先すると考えられてきたため(ただしカトリックでは両者の調和を伝統的に求めてきた)、それに乗じて理解への願いはさほど強いものではなかったというのが正直なところである。すくなくともこの世はすばらしく、かつ進化論も創造論にとってもはや躓きの石ではなく、むしろ神の偉大な創造力の表現として「みごとな」ものだと考えてきた。本書はそのような神話的あるいは親宗教的な進化観を突き崩すダイナミズムを秘めており、無類の刺激を得ることが出来た。
目次を挙げておこう。
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近年、新聞等で頻繁に取り上げられるようになった「脳科学」について、1998年の読売新聞(東京版)で大変興味深い記事があった。毎週朝刊に掲載されていた「心のメカニズム」特集だ。1998年当時、世の中が注目した「身近な話題」と「脳」の関係性を紹介している。
■脳は大きな目標が必要
1月22日の本blogにて、寺尾研究員が執筆した【書評】松本元著『愛は脳を活性化する』(岩波科学ライブラリー42、岩波書店、1996年)の著者が第12回の連載に登場する。
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