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2009年1月22日 (木)

【書評】松本元著『愛は脳を活性化する』(岩波科学ライブラリー42、岩波書店、1996年)

□希望の書
Gpss090122 地味な書籍であるにもかかわらず、某巨大ウェッブ書店では七つもの評価が投稿されており、しかもすべて満点の五つ星。「小さな子を持つすべてのかたに読んでほしい」という穏やかな評価から「科学者による言論界の創造的破壊」という勇ましいものまであるが、いずれもレビューも多くの賛同を得ている。全109頁の小さな書物ながら、読者に与える希望の大きさがそこから推し量られる。著者は1940年生まれの神経回路の研究者。理化学研究所脳科学綜合研究センターのグループディレクターである。目次は以下の通り。

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2009年1月15日 (木)

The International GPSS Workshop in South Korea report

The report of GPSS Workshop at Sogang University in Korea(25, october, 2008) is now available in English.
(this report written by Alena GOVOROUNOVA)

Please click this PDF file.
「the_international_gpss_workshop_in_south_korea_report_alena.pdf」をダウンロード   

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韓国でのGPSS Workshopのレポート(8)

<SESSION IV >

Img_0529  以上の5人の報告を踏まえて、SESSION IVでは、全体討議が行われた。討議は、田中先生の報告への質問が続く形で進行した。
 まず、スピリチュアリティ(こころ)の解釈における脳生物学的な決定論について議論が交わされた。例えば、「脳の前頭連合野に自由意志(free will)の居場所があるのか?」や「自由意志の発生は、top-downの因果関係や志向性によって組織されるのか?」といった質問が寄せられ、田中先生は、脳科学において、自由意志の発生は脳の前頭連合野で組織されるのがもっとも一般的で、意識はtop-down の注意(top-down attention)と存在論的には同じであると回答された。

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韓国でのGPSS Workshopのレポート(7)

□田中啓治先生の報告
Img_0522  SESSION Ⅲの第二報告であり、今回のworkshop最後の報告は、日本の理化学研究所の田中啓治先生による「目的志向的行動をコントロールするツールとしての『こころ』と意識」である。田中先生は、昨年の台湾に続き、二度目のご登壇となった。
 田中先生は、「認識、意志決定などの高次脳機能の脳内メカニズムを明らかにするため、霊長類実験動物にいろいろな認知的行動課題を訓練し、課題遂行中に単一神経細胞活動記録を行う実験と、4テスラMRI装置でヒト被験者の脳活動を非侵襲的に記録する実験」を行われており、研究の中心テーマは、「側頭連合野における物体の視覚的認識のメカニズムと前頭連合野における目的指向的行動のメカニズム」の研究である。

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韓国でのGPSS Workshopのレポート(6)

<SESSION Ⅲ>

□入来篤史先生の報告
Img_0515  この後、Tea timeをはさんで、SESSION Ⅲが始まった。このセッションは、「脳科学と『こころ』」と題され、脳科学の立場からの「こころ」に対するアプローチとして、ふたつの報告がなされた。司会は、Bernard SENECAL先生が務めた。
 最初の報告者は、日本の理化学研究所入来篤史先生である。入来先生は、「ニホンザルの行動学的および電気生理学的解析を軸として、ヒトの知的高次認知機能の進化的基盤を構成すると考えられる身体の構造や運動に立脚した象徴概念形成、推論/論理思考などの萌芽的機能のシステム神経科学的解析」を専門とされている。

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韓国でのGPSS Workshopのレポート(5)

<SESSION Ⅱ>

□William WALDRON先生の報告
Img_0507  昼食をはさみ、SESSION Ⅱがスタート。
 Alena GOVOROUNOVA先生が司会を務め、ヒンドゥー教と仏教研究を専門とし、また、インド仏教の瑜伽行派と現代思想との対話に関する著作をもつアメリカのMiddlebury CollegeのWALDRON先生による“Cognitive Science and Buddhism: A Buddhist Philosophical Critique of Naturalizing Mind”と題された報告がなされた。

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韓国でのGPSS Workshopのレポート(4)

□HUH Kyoon先生の報告
Img_0493  続いて登壇したのは、亜洲大学校メディカルセンター(Ajou University Medical Center)のHUH Kyoon先生である。
 HUH先生は、 “What is the Brain?  Searching for the New Horizons of Neuroscience”というタイトルで、神経科学の立場から、「脳」や「意識」の問題を検討し、「科学と宗教」の関係に関する新しいパラダイムの提示を行った。

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韓国でのGPSS Workshopのレポート(3)

<SESSION I>

□KIM Heup Young先生の報告
Img_0488  続いて、「韓国における科学と宗教」をテーマとしたSESSION Iに移り、最初に、組織神学を専攻し、「宗教と科学」、宗教間対話の研究に取り組んでいるKIM Heup Young先生(江南大学校、Kangnam University)が、“An East Asian Perspective in Science and Religion: Towards a Trilogue of Humility (Sciences, Theologies, and Asian Religions)”と題する報告を行った。

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韓国でのGPSS Workshopのレポート(2)

<Opening presentation>

□Paul SWANSON先生の報告
Img_0511  最初に、西江大学のBernard SENECAL先生より、今回のWorkshopの主旨説明があり、次いで、南山宗教文化研究所(Nanzan Institute for Religion and Culture)のPaul SWANSON先生によって、“Brain Science and Religion: What Are the ‘Big Questions’? ”と題するオープニングを飾る発表が行われた。
 

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韓国でのGPSS Workshopのレポート(1)

 昨年(2008年)10月25日、韓国のソウルにあるSogang University(西江大学)で、南山宗教文化研究所と西江大学宗教研究センターの共催によるWorkshop“BRAIN SCIENCE AND RELIGION:Some Asian Perspectives”が開催され、盛況のうちに終了した。
以下、その様子を報告したい。(報告者:大谷栄一)

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2009年1月13日 (火)

【書評】養老孟司著『運のつき――死から始める逆向き人生論』(マガジンハウス、2004年)

□ベストセラー科学者の告白録
Gpss090113  いまさら言うまでもなく著者は『バカの壁』をはじめとして、数え切れない多くの著作を公刊し続ける「ベストセラー科学者」である。縦横無尽のその語り口は、多くのファン(さらには批判者)を生み出している。江戸っ子的な飾り気のない、つまり口の悪さに起因する多様な評判だろうが、科学者として世事一般にたゆまず発言しつづける気力と視野の広さだけをとってみても、われわれのプロジェクトにとって一人の「先人」たることは否定できないであろう。本書は著者のいわば告白録といってもよいもので、他著とは異なり、かなり個人史に基づいたホンネが記述されている。ことに大学紛争にまつわる記憶と、その後の身の振り方については、厳しい態度が表明されている。著者はものわかりのよいオジサンではない。ともあれ、いささか偽悪的な記述の隙間から、科学と人生のあいだを架橋しようという心意気が感じ取られる。

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2009年1月 9日 (金)

「科学と仏教の接点」の探索

□講演会「科学と仏教の接点」 
 昨年9月、東京で、認知脳学者の藤田一郎氏(大阪大学)と原始仏教を専門とする佐々木閑氏(花園大学)を講師とする講演会「科学と仏教の接点」が開催された(主催は、花園大学と東京禅センター)。
 その報告記事が、『朝日新聞』2008年10月24日(→こちら)に掲載されており、また、聴衆のアンケート結果が、東京禅センターのHP(→こちら)に紹介されている。
 すでに、本blogで、寺尾寿芳研究員が佐々木氏の著作『犀の角たち』(大蔵出版、2006年)の書評(→こちら)を執筆しており、この中で、寺尾氏は次のように述べている。

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2009年1月 6日 (火)

「現代における宗教の役割研究会」(コルモス)第55回研究会議に参加して

 2008年、年の瀬も押し迫った12月26日(金)・27日(土)、京都国際ホテルを会場に表記研究会議が開催され、小生も僭越ながら所長代理として参加した。今年のテーマは「環境倫理と宗教文化」であり、初日が基調講演二つ、二日目がパネルディスカッションと全体討議であった。環境はひろく科学・こころ・宗教にまたがる領域であり、またなにより深刻な環境破壊を目の当たりにする現代人にとり喫緊の課題であることもあり、大いなる関心を持って参加した。

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