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2009年1月15日 (木)

韓国でのGPSS Workshopのレポート(7)

□田中啓治先生の報告
Img_0522  SESSION Ⅲの第二報告であり、今回のworkshop最後の報告は、日本の理化学研究所の田中啓治先生による「目的志向的行動をコントロールするツールとしての『こころ』と意識」である。田中先生は、昨年の台湾に続き、二度目のご登壇となった。
 田中先生は、「認識、意志決定などの高次脳機能の脳内メカニズムを明らかにするため、霊長類実験動物にいろいろな認知的行動課題を訓練し、課題遂行中に単一神経細胞活動記録を行う実験と、4テスラMRI装置でヒト被験者の脳活動を非侵襲的に記録する実験」を行われており、研究の中心テーマは、「側頭連合野における物体の視覚的認識のメカニズムと前頭連合野における目的指向的行動のメカニズム」の研究である。

 今回のご報告は、田中先生のこの研究テーマから、「こころ」の問題にアプローチされた内容であった。
 田中先生は、脳にダメージを受けたSplit Brain patients(分離脳患者)の症例などを取り上げながら、物体の視覚的認識や目的指向的行動、working memory(作業記憶。理解、学習、推論など認知的課題の遂行中に情報を一時的に保持し操作するためのシステム)について説明をされ、人間の目的志向的行動をコントロールする「こころ」と意識に関する脳機能のメカニズムを報告された。
 田中先生によれば、神経やグリア細胞(神経膠細胞。神経系を構成する神経細胞ではない細胞の総称)は、脳の一ヶ所の部分から他の部分にシグナルを転送したり、神経回路で情報を処理するために脳の中で活性される。これらのプロセスが全体として行動をコントロールするとのことである。working memoryを入力するこれらの神経機能は、意識的な「こころ」の一部となる、と田中先生は説明する。そして、意識的な『こころ』は目的志向的な行動のコントロールのための脳の活動をから生じる、と述べられた。

□質疑応答
 田中先生の報告を受けての質疑応答では、非意識的な認識、評価、選択についての認知メカニズムに対する神経科学の研究に質問が寄せられた。とりわけ、評価の意識的な神経科学的な分析が、非意識的な習慣形成や他の非意識的な行動反応に関する仏教的な理解に情報を提供する可能性が示され、議論を通じて、神経科学と認知心理学における仏教心理学が非意識を解明するための重要な研究に貢献するかもしれないことが示された。

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