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2007年10月31日 (水)

台湾の国際ワークショップのレポート(3)

 ワークショップ2日目(10月14日)は、午前8時45分より、Frank Budenholzer先生のあいさつによって始まった。
 この日は、17名の参加者が集まり、心理学専攻の先生方数名が新たに参加された。

□田中啓治先生の報告(Session VI)
 日本から参加いただいた田中啓治先生は、南山宗教文化研究所のGPSSプロジェクト「科学・こころ・宗教」のメンバーの一人であり、初日より、本ワークショップの議論を牽引され、今回のワークショップのキーパーソン的役割を果たされていた。
Dscn3005_4    田中先生の報告は、“Mind and Consciousness as Tools for Goal-directed Behavior”と題して、目的志向的な行動をめぐる「こころ」と意識の問題について、脳科学の立場から、ご発題いただいた。
 まず、田中先生は、習慣的な行動が刺激→行為→結果という流れによって導かれ、その結果が強化子(reinforcer、好ましい反応をした時に与える報酬、または不快を生じさせる嫌悪的刺激)として、行動を導く刺激に影響を与えること、その一方、目的志向的な行動は目的→行為の流れからなり、目的には環境的な刺激が関係し、目的から行為の流れにおいては行為結果の偶然性が影響することを説明した。

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2007年10月26日 (金)

台湾の国際ワークショップのレポート(2)

□Sangeetha Menon先生の報告(SessionⅢ)
 午後のSessionは、インドのBangalore にあるNational Institute of Advanced StudiesのSangeetha Menon先生による“Brain Centers and Being Centers of Consciousness”の報告から始まった。
Dscn2990_3 Menon先生は哲学を専門とし、今回は意識研究の立場から、「脳と意識」の関係についての報告を行った。
 まず、R・デカルト、W・ジェイムズ、S・フロイド、K・ユング、Ramana ahararshi等の意識に関する先駆的な研究の数々を紹介し、次に、クオリア(質的経験)で有名なT・ナゲルやD・チャーマーズ等の近年の研究を紹介しながら、問題の所在を提示した。
 その上で、意識を把握するためには、一つの領域からではなく、神経科学・認知心理学・精神医学・精神哲学・生物学等の多領域からアプローチしていくことが重要であるとして、心理学研究と神経科学とのコラボレーションの必要性を強調。
 そして、従来の意識研究の特徴である心身の二元論には限界があることを示し、今後は、非人称的な脳と、人間の経験との関係をどのように考えるかが重要であると述べる。つまり、人間の人格的なアイデンティティと意識、経験の関係の把握が問題となることを示し、まさに、このワークショップの課題を指し示す報告となった。
 報告後の議論では、神経科学が人間の人格的なアイデンティティをどのように理解することができるのかという論点や、人間の意識形成を規定する環境の問題について、DNAと環境の関係をどのように考えるのかといった論点に対する議論がなされた。

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2007年10月25日 (木)

台湾の国際ワークショップのレポート(1)

Dscn2955_5  以下、10月13~14日の二日間、台湾の輔仁カトリック大学で開催された国際ワークショップ “Consciousness, Brain Science, and Religion: Some Asian Perspectives”の内容について報告したい。
 
□ワークショップの概要
 このワークショップは、南山宗教文化研究所と輔仁カトリック大学の「科学と宗教」研究センターによる共催企画であり、当研究所のPaul Swanson先生と輔仁カトリック大学のFrank Budenholzer先生がオーガナイズした。
 当研究所にとっては、GPSSプロジェクト「科学・こころ・宗教」の一環として位置づけている活動である。
 ワークショップには、日本、台湾、香港、インド等の各地域から、宗教学、仏教学、哲学、心理学、神経科学、脳科学等を専攻する研究者が集まり、参加者は二日間を通じて、約30名を数えた。
 
□初日(10月13日)の午前中のSession
 午前8時45分、午前中のChairを務める、台湾の国立中山大学(National Chung Shan University)の越建東(Kin-Tung Yit)先生の挨拶によって、ワークショップは始まった。
 続いて、今回のワークショップのオーガナイザーの一人であるFrank Budenholzer先生が挨拶をされ、ワークショップの主旨と本日の進行を説明された後、Sessionが始まった。

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2007年10月23日 (火)

今年度のノーベル賞

□受賞レースしてのノーベル賞
 「科学と宗教」プロジェクト(フォウス社基金:三田一郎・神奈川大学教授および南山宗教文化研究所客員研究員指導)のアシスタントに昨年度着任して以降、いままで読み飛ばしてきた科学関係の記事に目が留まるようになった。今年度のノーベル賞に関する記事もその一つである。
 朝日新聞10月12日朝刊に「ノーベル賞『実用性』に光」という見出しで記事が掲載されている。対象は医学生理学、物理学、化学の三賞で、経済学と文学という社会科学系・人文系の各賞は省かれている。
 ノーベル賞と聞いて思い浮かぶのは、まずいささか下世話な話になるが、「受賞レース」。穏やかな学術研究とは程遠い、激烈な競争の世界であり、オリンピック競技に似ているということだ。情報化社会が進んでその度合いはますます高まっていることだろう。日本訪問時に撮影された受賞者の笑顔に金メダルを獲得したアスリートに似た面影を見出そうとしてしまう。わたしは一時期、京大医学部の先端科学研究棟のまん前に下宿していたことがあるが、まさに年中無休、真夜中でも煌々と電灯が輝く「不夜城」そのものであった。科学の進歩は崇高な理想と激烈な競争意識に支えられていることを象徴する風景だった。

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2007年10月18日 (木)

HPとblogのリンク

 「科学・こころ・宗教」プロジェクトの概要や活動は、南山宗教文化研究所のホームページ(HP)でもご覧頂くことができます。

 HP(→こちら)の「科学・こころ・宗教」のページから、このblogにリンクを張りました。
 HPからblog、blogからHPに簡単に往き来できるようになりましたので、今後とも、HPもblogも両方ともご愛読くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。Gpss_collage_3
 

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国際ワークショップが終わりました

 台湾の輔仁カトリック大学で開催された国際ワークショップ“Consciousness, Brain Science, and Religion: Some Asian Perspectives”が盛況の内に終了しました。
 二日間を通じて、台湾、日本、香港、インド等のアジア諸地域から、哲学、仏教学、宗教学、心理学、神経科学等の多分野の研究者約30名が集まり、誠に興味深い報告と、それを受けての活発な議論がなされました。Sdscn2968_6
 
 
 

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2007年10月14日 (日)

国際ワークショップの集合写真

 台湾での国際ワークショップの集合写真です。
 (写真をクリックすると、大きSdscn2993_2 くなります。)

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2007年10月13日 (土)

国際ワークショップが始まりました

 台湾の台北縣新莊市にある輔仁カトリック大学(Fu Jen Catholic University)にて、国際ワークショップ“Consciousness, Brain Science, and Religion: Some Asian Perspectives”が始まりました。南山宗教文化研究所輔仁カトリック大学の「科学と宗教」研究センターによる共催の企画です。
 アジアの諸地域から、さまざまな分野の研究者20数名が集まり、本日(10月13日)の午前8時45分より、始まりました。
 詳しい内容は、追って、ご連絡させていただきます。
(南山宗教文化研究所研究員 大谷栄一) Sdscn2950_12  

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2007年10月10日 (水)

International Workshop in Taiwan

Gpss071010_2  来る10月12日から14日まで、台湾の台北縣新莊市にある輔仁カトリック大学(Fu Jen Catholic University)で、国際ワークショップ
“Consciousness, Brain Science, and Religion: Some Asian Perspectives”が開催されます。
 台湾、日本、香港、インドを拠点として活躍する研究者による、アジア的な視座からみた「意識、脳科学、宗教」の関係をめぐるワークショップです。
 当研究所からは、Paul Swanson所長がGPSSプロジェクト「科学・こころ・宗教」の成果を踏まえた報告をされます。
 また、本プロジェクトに参加いただいている理科学研究所の田中啓治先生もご報告をされます。
 私(大谷)も同行させていただくので、詳細は、台湾より報告させていただく予定です。
 プログラムは、以下の通りです。

プログラム

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2007年10月 7日 (日)

【書評】村上陽一郎著『新しい科学論――「事実」は理論をたおせるか』

村上陽一郎著『新しい科学論――「事実」は理論をたおせるか』講談社、1979年

Gpss071007_2  □科学論の「古典」
 まさに「古典」である。初版は1979年。現在評者の手元にあるのは今年2007年4月の第42刷である。ロングセラーが珍しくない講談社ブルーバックス・シリーズのなかでも最もよく売れているものの一冊であろう。
 著者の村上氏は言うまでもなく日本における科学史研究の第一人者であるが、本書は科学史のこまかな知識を説いたものではなく、また読者にその方面の知識を前提として要求するものでもない。むしろ科学が成立する基本的な発想の基本形をやさしく説いたものである。恥ずかしながら科学関係の書籍を読む際には、それがたとえ中学生向きの入門書であれ浅学菲才ゆえにつねに苦労が伴い、さらに告白すれば、超文系であるためか、つねに違和感を抱いていたというのが実情である。しかし本書にかぎってはその手の障害がまったく感じられず、ある意味生まれて初めてスムーズに通読できた科学書となった。さすがにロングセラーなだけはあると感心した。

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2007年10月 3日 (水)

懇話会のお知らせ

下記の通り、インドのNational Institute of Advanced StudiesSangeetha Menon氏をお招きして、懇話会を開催いたします。
参加をご希望の方は、大谷(→mail)宛てにご連絡下さい。
みなさまのご参加をお待ちしております。

日 時: 2007年10月19日(金) 午後5時00分~7時00分
場 所: 南山宗教文化研究所 2階会議室
講 師: Sangeetha Menon氏(National Institute of Advanced Studies, Bangalore)
演 題: “Brain and Consciousness : Challenges in Science Spirituality Dialogues”

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